教員になるには(私立編)

教員になるにはシリーズ、私立編である。前回は公立学校に勤めるためには、教員採用試験を合格する必要がある、と説明した。詳細については以下の記事を読んで欲しい。





さて、今回は、私立学校についての話である。そもそも、私立と公立だったら金をあまり払わなくていい公立に行けばいいじゃん、なんでわざわざ金を払ってまで私立にいくの?と思う人も多いはずだ。そこで、まず、公立と私立の違いについて説明していこう。

公立と私立の違いは?

学校教育法
第2条  
学校は、国、地方公共団体及び私立学校法第三条に規定する学校法人(以下学校法人と称する。)のみが、これを設置することができる。
この法律で、国立学校とは、国の設置する学校を、公立学校とは、地方公共団体の設置する学校を、私立学校とは、学校法人の設置する学校をいう



ざっくり言うと、国や自治体が学校の設置者である場合が公立、個人が設置者である場合が私立である。



公立は学校にかかる負担金を、税金でまかなうことが出来るので、通う人たちの負担が少なくて済む。一方、私立はゼロから資金を集める必要がある*1ので、学費が高いというからくりだ。


私立学校に通うメリット


それでも私立の学校に、お金を払ってまで通うメリットというのは少なからず存在する。そのメリットを見てみよう


(1)備品や設備が綺麗なことが多い。


公立の場合、税金で学校の費用をやりくりしなければならない。そのため、そのお金の使い道については非常に慎重になる。だが、私立は生徒から集めた資金をそのまま運用出来るので、設備が綺麗である場合が多い。あくまで、多いだけであり、全てがそうとは限らないので注意。





(2)進学校の場合、きめ細かい指導が可能


高い金を払ってるだけあって、その分先生の質も高いことが多い。その最たる例が、進学校である。


2018年、東京大学現役合格率のベスト3は、

1位 開成高校(東京)
2位 聖光学院高校(神奈川)
3位 灘高校(兵庫)

であるが、これらはすべて私立高校だ。逆に言えば、公立の高校からトップレベルの大学に行くには、それなりに賢い学校教員とレベルの高い学習塾に巡り会わなければ難しい。
この手の学校は中高一貫校であることが多いが、中学校の「お受験」を突破し、お金さえ払うことが出来れば安泰かもしれない。




(3)独自の教育を行える

わかりやすい例で言えば、宗教教育である。公立学校の場合、法律によって以下の行為が規制されている。


教育基本法
第十五条 
(2)国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。



すなわち、特定の宗教に関して教育を施してはいけませんよ~という法律である。


そもそも、なぜ禁止されてるのかだが、国家と宗教を切り離すためである。政教一致*2は、民主主義においてあってはならないからだ。



ところが、私立の学校にはこれが適用されないため、独自の宗教教育が可能である。だから、キリスト系の学校や、仏教系の学校が存在し、それを学びたいという一定数の需要が満たされているのである。




私立学校の教員になるには


さて、本題の、私立学校の教員になるにはどうしたらいいか、であるが、教員採用試験を受ける必要は基本的にはない。今から示す3つのルートで、私立の教員になることができる。




(1)直接学校に応募する

これが一番オーソドックス。私立学校が求人を出している場合、自分で応募して自身を売り込むという方法がまず1つである。近場の私立学校のホームページから確認できるので各種必要書類を郵送してみよう。書類審査が通れば、筆記試験、面接試験を経て晴れて教員になれる。一般企業の就職活動をイメージしてくれれば、それに近い形になる。





(2)私学適性検査を受ける

私学適性検査とは、公立学校における教員採用試験のようなもので、私立の教採と言い換えることが出来る。
私学適正検査は、以下の自治体で開催されている。


東京都・静岡県・群馬県・愛知県・兵庫県・広島県・福岡県・長崎県


これを受けると、結果からランク(A~E)に分けられ、各自治体の私立学校にリストとして通知される。そして、学校から連絡が行くという仕組みだ。


内容としては、教員採用試験と似たような問題が出題される。なお、私学適性検査のほうが若干高いような気がするが、筆者の主観なのであまり気にしないでほしい。


ここで大切なのは、受けたからといって、必ず求人が来るとは限らないという点である。あくまでランク分けされるだけで、基本は(1)のように、各学校に連絡することで採用されるので、気を付けよう。





(3)臨時講師として招かれる

この前話をした、臨時的任用講師の登録の話を覚えているだろうか?


先生になるには(後編) - アラサー教師「こんなはずじゃなかった」



このとき、講師になってほしいと声をかけてくるのは公立学校だけではない。稀に私立学校からもかかってくるのだ。



そこから頑張って正規になる、という手段を選ぶことも出来る。棚からぼた餅、ではないが、臨時講師として信頼を築き、正規教員になるというこの方法が、一番ある意味楽だと自分は思っている。



しかも、私立学校は人事異動が独自のタイミング(2月の半ば~)で把握できるので、公立よりも*3早い時期に電話がかかってくる。勤め先がとにかくほしい!という人間は、積極的に面接を受けてみよう。



ただし、私立学校の経歴は、教員採用試験の一次試験免除に必要な、教員の経験年数に含まれない点には注意が必要だ。この件については、後日また詳しく書こうと思う。




ちなみに気になる給与の違いだが、公立学校に準ずるものにすることが基本なので、公立学校も、私立学校も大した差はない。それでも福利厚生が地方公務員のほうがもちろん手厚いので、私立学校はその分をボーナスで補っている、とまあこんな感じである。ただし私立の場合、有名な高校や、バック(裏にある組織)がデカい高校は、その限りではない。




いかがだっただろうか。



自分が思うには、職を失うリスクを回避したかったり、安定した昇給が欲しいなら、断然公立の学校に勤めた方がいい。



もし、そこまで拘りがなく、法律に縛られたくない!とか、自由な環境で教育に携わりたい!という場合は、私立学校を選ぶのもアリだ。



全体の割合を考えると、私立のほうがもちろん少ないので、私立に勤めたい人は、そこの学校に勤める目的を明確に持って、採用試験に臨もう。

*1:厳密には国がお金を少し負担している

*2:政治のトップと宗教のトップが同じであること

*3:公立の場合、人事異動が決定し、欠員が分かるタイミングは3月に入ってから