教師というお仕事


「先生は、なんで先生になろうと思ったの?」


俺が教師になってから、生徒に一番聞かれたであろう質問である。生徒や民間企業で働いている大人たちにとって、それは一番の疑問ではないだろうか。


昨今、教師=超ブラックな職業、ということが世間に認知されつつある。


日が昇りきってない朝早い時間に出勤し、授業や書類作成、各部署の多すぎる校務に終われ、授業が終わったあとには部活動もこなさなくてはならない。やっと部活が終わった頃には外は真っ暗。そこから職員室に戻り、提出された課題のチェック、次の授業の準備、欠席した生徒への電話連絡、さまざまなことを1つずつ消化していくと、時には帰る時間が日付を越えてしまうときもある。


こうやって書き出してみると、確かに「なんでこんな酷な仕事をしてるの?馬鹿なの?死ぬの?前世で悪いことした罰を受けてるの?」と言われても、仕方ないかもしれない。



このツイートを見れば分かる通り、激務なのと同時に、残業時間がえぐい。民間の平均が約47時間だと言われている。しかも、しっかりとした企業であれば残業代が出るはずだ。しかし、教師の残業代は定額*1であるため、実質使われ放題である。給与を時給換算すると、300円台である教員もザラにいる。ほんとにここは日本なのか?


ならばなぜ、我々は教員を続けるのだろうか?さっさと転職すればいいじゃん?アンタ馬鹿ぁ?と皆さんは思っていることだろう


教師になる理由はさまざまだ。純粋に子どもが好きだ(ロリコンも含む)という人、地方公務員だし安定してるからという人、勉強の楽しさを教えたいという志の高い人……。お金よりも動機が勝り続ければ、こんな奴隷のような労働環境でも働き続けることが出来る。失うものよりも、得るものが多ければそれでいいのだというある種の偽善者がこの職種には多い気がする。


さて、俺の場合だが、表向きには「勉強を教えるのが楽しいから」という風に、にこにこしながら答えている。勉強を教えることは苦痛ではないから嘘をついているわけではない。だが、教師になろうと思った本当の理由は別にある。



これだ。


小学生のとき、ドラゴン*2という床屋で、待ち時間にいつも読んでいたのがGTOだった。


簡単にあらすじを紹介すると、頭が悪いが真っ直ぐな心の持ち主のヤンキーが、教師となって生徒を更正させるという、ホットブラッドなチェリーボーイのティーチャーの漫画である。


きっと普通の小学生なら「こんな先生いねえよw」って嘲笑して、でんぢゃらすじーさんやコロッケ!!*3を熟読していたことだろう。だが、合法的にえっちなシーンが見れることもあって、マセガキだった俺はドラゴンに行くたびにGTOを読んでいた。そして、こんな馬鹿だけど純粋な心で生徒にぶつかるような教師になりたい(ほんとは可愛い女の子とエロいことしたい)と思うようになったのだ。


少しイレギュラーな動機であるため、これを誰にも言えずにここまで来てしまった。だいたい俺の周りの人間は、先述の理由に加え、自分の親が教師だから、だとか、中学の担任の先生に憧れて、だとか至極真っ当な理由であることが多かった。


かたや、鬼塚永吉*4に憧れて(羨ましく思って)教師を目指し始めた俺なのだが、昔から嘘をつくのが苦手で、教員採用試験では思ってもいないキレイゴトを並べまくっては目を泳がせてしまっていた。純粋な勉強不足も相まって、今は私立の学校で冴えない国語教師をやっている。


それでも、俺は今、こうして教師を続けてアラサーになった。給料は少ない、親からのクレームは日常茶飯事、生徒は悪いことばかりして謹慎のオンパレード、ストレスはたまりにたまって、ギャンブルで散財、70万円の借金を背負いながらも、それでもこの仕事を辞めなかった。



それはなぜか?



答えはいたってシンプルで、まだGTOになれていないからだ。


「なれるわけねぇだろ現実見ろよ」って嗤われるかもしれない。その通りだと思う。逆説的だけど、なれないって分かってるから、ずっと教師やってようと思える。


そう、教師の現実はもっと残酷で、厳しくて、冷たくて、時々温かい。このブログでは、そんな教師のリアルな日常を、特定されない範囲で公開していこうと思う。

*1:公立教員は時間外勤務手当が支給されず、全員一律に給料に4パーセントの定率を乗じた額の教職調整額が支給されている

*2:いつもスポーツ刈りと頼んでいるのに毎回角刈りにされていた。多分おじちゃんの腕が悪い

*3:当時のコロコロコミックの金字塔

*4:GTOの主人公のヤンキー先生